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ジュゼッペ・ジュスティ

芳醇なる黄金の液体 アチュート・バルサミコ
北イタリア、エミリア・ロマーニャ州の中世の都市モデナからレッジョ・エミリアにかけて、古くから伝わる伝統的な酢。あえて訳せば「芳香酢」となりますが、酢というよりはむしろ調味料の一種とした方が適当でしょう。
「公爵の酢」「黄金の液体」「調味料のキャビア」 などと世界で最 も高価で気品のある酢と言われるアチェート・バルサミコは、この様にさまざまに呼ばれてきました。その艶やかな暗褐色、とろりとしたシロップ状の濃度、かぐわし花の香りとまろやかな甘味。同じぶどうを原料としなが らも、いわゆるアチェート・ディ・ヴィーノ (ワインヴィネガー)とは、全くその質を異に します。
 その起源は古く中世までさかのぼり、アチェート・バルサミコという名が記録として初めて記されたのは1747年のモデナ公国の公文書ですが、さらに700年前に さかのぼります。この一帯を支配していたエステ家の年代記に、1046年 ローマ法王クレメンテの戴 冠 式の模様が記されアチェート・プレスティージョなる高価な酢が登場します。 その時代にはこの特殊な酢が作られエステ家によって管理され、パリやモスクワを初めとする他の公国の国王や公爵 らに贈物として贈 られたほか、モデナを中心とする上流階級の専有物として伝えられてきました。 この特殊な酢が脚光を浴びるようになったのはごく最近のことです。それもほんの一部の限られた範囲で、イタリアでさえこのアチェート・バルサミコを知る人は少なく、またイタリアの料理書にも見出すことはほとんどありません。

原料はトレッビアーノ種 というこの地方特産の白ぶどうで、甘味が強いのが特徴です。 これを潰し種子や皮も付けたまま樽に静置 し、麻袋に入れて自然に濾しぶどう液を取出します。 直ちに銅鍋に移し細心の注意を払って半分にまで煮詰めます。そして静置して冷まし、滓を除き樽に移し熟成に入ります。 この熟成工程が 最もアチェート・バルサミコの特徴的 なものなのですが、トラ ヴァーゾ と呼ばれる樽の移 しかえで、毎年材質の違う樽 (樫 桑 栗 桜 ネズ等) に移しかえられます。 この一年ごとの樽の移しかえの度に樽に吸収 されたり蒸発 したりして、何割かが減量し、少しづつ小さな樽に移しかえられ、10年から15年長いものでは100年と熟成 されます。

 “ジュセッペ・ジュスティ” は1605年に創業し、今では最古の伝統的なメーカーとなりました。
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